研究開発職

インク配合を考えて試験を重ねることで、
まったく新しいペンが完成

研究開発センター 2000年入社
工学部 応用化学科 卒業

PROFILE

2000年に入社。群馬研究開発センターに配属され、主にサインペンのインク開発に従事。2005年に本社特許室へ異動し、特許実務を1年半担当する。2006年に横浜研究開発センターへ異動し、「スタイルフィット」など水性ゲルボールペンのインク開発を担当する。育児休暇後、2010年に復職。その後も「ユニボール シグノ 307」など水性ゲルボールペンのインクの開発に従事する。2度目の育児休暇後、2017年に復職し、現在は水性サインペンインクの開発を担当している。

※横浜研究開発センターは品川に移転しました

試行錯誤してインクを配合し、
ペンに入れてからも何度もテスト

私は現在インクグループ水性チームで、新商品となる水性サインペンのインク開発をしています。ひとくちにサインペンといっても、なめらかな書き味だったりはっきりとした描線だったりと、求められる性能は千差万別。まずその商品に求められる性能は何なのか、どうしたらそのスペックが満たせるのかを検討します。それから配合する材料を既存のもののなかから調べたり、必要に応じてつくったりすることも。そしていろいろな角度から試行錯誤してできあがった試作インクを実際にペンに入れてみて、狙った性能を満たしているか、インクがスムーズに出るか、書き味はどうか、長期保管できるか、お客さまに使っていただく上で不具合はないのかを、さまざまなテストで確かめていきます。もしも不具合があればインク配合の見直しをおこないますし、機構開発者へフィードバックして機構面からも改良・修正してもらうなど、チーム全体で解決手段を探します。

答えが見つからずに悩み、
ときには眠れなくなることも

やりがいを感じるのはやはり、自分や仲間が開発した商品をお客さまが使っているのを見たときや、「使いやすい!」などおほめの言葉をいただいたとき。また仮説を立てて実験をして、狙ったとおりの答えが出たときは、パズルが解けたようにすっきりします。たとえ仮説どおりでなくても、思わぬ結果を目にしてワクワクすることも。ときには問題に対する答えがなかなか見つからずに何ヶ月も悩みつづけることもありますし、発売直前に「使いつづけると書けなくなる兆候が出てきた」など思わぬトラブルが発生したときには、苦しくて眠れなくなったこともありました。でも私たちの仕事はチームでおこなっているので、たいへんなときにはみんなが一緒になって解決手段を探してくれます。そんな経験を何度も積んできて、問題に真摯に向き合えば必ずなにかしらの答えはでるとわかりました。私たちの仕事は新商品だと3~5年ほどとスパンが長くなることも多いので、問題を大きくしないためにも、日ごろから小さな変化を見逃さず、そのつど解決していくことが大切だと感じています。

数千回にもおよぶ試作を経て、
次世代素材を世界ではじめて実用化

今まででいちばん思い出深いのは、世界ではじめて次世代素材セルロースナノファイバーの実用化に成功した「ユニボール シグノ 307」の開発です。育児休暇から復帰して浦島太郎状態だった当時、勉強しなおそうと参加した講習会で出合ったのがこの素材でした。ゲル化剤としての採用をチームメンバーに相談したところ、好評価。さらに試作品がアイデア会で評価され、開発がスタートしました。しかし想像以上に問題は山積みで、添加剤の選定やつくり方など、あらゆる工夫が必要でした。インク試作数は数千にもおよびます。たよりになる先輩・後輩とたくさんのことを話し合い、工場にも何回も試作に行き、多くの苦労を経て完成した商品です。その甲斐もあり、伊勢志摩サミット協賛商品に選んでいただけたのは、非常にうれしかったです。これからも、おどろきや感動を生み出したり、誰かの生活をラクにしたり、愛着を持ってもらえたりする商品を開発していきたいと思います。

1日のスケジュール

08:30
電車の待ち時間にメールと1日のスケジュールをチェック
09:00出社
実務担当者に試作の依頼内容を伝える データ整理 前日の測定結果の確認と整理
11:00
商品開発メンバーと進捗内容の打ち合わせ
12:00昼休み
他部署メンバーと外食
13:00
着想から構想を具現化し、インク・ペンを試作、実験
15:00
チームで業務の進捗確認
17:00退社
電車での移動中、ネットで情報収集
18:00
保育園お迎え、家事育児に切り替え

※内容および社員の所属は取材当時のものです。

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