関連技術について

三菱鉛筆の商品は、技術の集大成です。
要である15の技術、
そしてそれらの技術

筆記具へどのように応用され
商品を形作っているのかを、
詳しくご紹介します。

15の技術と4つの要素マトリックス

筆記具への応用 4つの要素

1.ヒューマンインターフェイス

2.環境・安全

3.差別化技術

4.メカトロニクス

15の技術

1.安全設計

筆記具は、世界中の子供から老人まであらゆる人に使われています。そのため安全性については自動車と同じようにActive SafetyとPassive Safetyがしっかりと考慮されています。
三菱鉛筆の製品には、 万年筆や水性ボールペンを飛行機の中で使ったときに気圧差でインクが噴き出してしまうのを防止する、独自の“航空機対応機構”を採用したものがあります。これは事故を未然に防ぐActive Safetyです。
子供がペンのキャップを飲み込んでしまった時でも窒息しないように、インクは乾かさずに空気だけを通す“通気構造キャップ”は Passive Safetyと言えます。
このほかにも、無理な曲げや落下衝撃も耐えられるように力学や構造解析を使って軸の強度設計をしています。これもいわゆる一つの衝突安全ボディと言って良いかもしれません。

関連する要素

2.人間工学

お気に入りの筆記具というものがある人も多いでしょう。「お気に入り」を調査すると、ノックの音がかろやかだとか、キャップをしめる時のしっくり感がよいとか数字で表しにくい「感覚」の部分が意外と多いのに驚きます。
中でも特に、グリップに注目する方が多いようです。「握りやすさ」という曖昧な基準に対して材質、形状、硬さ、摩擦係数などに項目を分けて数値化することでデータを収集し、それを設計にフィードバックしています。
さらに最近では、「癒し効果」を考慮してオーク材といった木材などの天然素材を使ったグリップも製品化しています。さすがにここまでくると人間の感性に勝るものはないでしょう。

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3.流動解析

筆記具の部品にはプラスチックが多く使われています。これらの部品は射出成形により1つの金型の中にある数十個の製品部分(キャビティ)にプラスチックが充填するようにして生産されますが、金型へ充填されるプラスチックの流れ方によって部品の強度や外観に大きな影響を与えます。そのためキャビティにプラスチックが均一に充填されるように部品や金型を設計する必要があります。
金型の中を流れるプラスチックは直接見ることはできないので、流動解析技術を活用しています。現在では流動解析ソフトによりシミュレーションして部品設計や金型設計に役立てていますが、最終的には試作で確認をとることも重要な作業です。

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4.金属材料

筆記具には金属材料も多く使われています。高級品の軸やクリップを始め、ボールペンの先端にある「ボール」と「ボールを保持するホルダーの部分」(合わせてチップと呼んでいます)には金属が使われています。使用する金属も超硬合金、銅合金、アルミ合金、炭素鋼など多岐にわたり目的に応じて選択しています。
ボールペンの心臓部とも言えるチップのホルダーには耐食性と耐摩耗性に優れたステンレス鋼が使われています。ミクロンオーダーの加工精度を要求されるチップの加工では、加工硬化しやすく難削材であるステンレス鋼を効率よく加工するために、長年培われた加工技術と最新加工技術との融合による三菱鉛筆独自の切削加工技術や塑性加工技術が使われています。

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5.高速精密自動組立

私達がなにげなく使っている筆記具も、構造は年々精密かつ複雑になり、逆に単価は安く抑えなければなりません。それゆえ、組立機械も「精密」と「高速」の両立が1つの大きなテーマになっています。
「精密」を実現するために、NC加工機の活用やCADによる微少動作のシミュレーションを行っていますし、「高速」を実現するためには、新素材による軽量化設計や、動作解析、最新のアクチュエータなどを行っています。こうした開発者の工夫が会社を支えているとも言えるでしょう。

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6.センシング技術

ふだん意識しない「書く」という動作。それをいかに機械で再現するかが筆記検査のポイントとなっています。例えば、人が書く場合、直線もあれば丸もあります。ボールペンの場合なら、ペン先の軌跡に追従するように無秩序にボールは回転させられます。すべての方向に書けてはじめて使えるボールペンになるのです。当社では、この考えに基づいた自動筆記選別装置を自社開発して製造工程に導入しており、様々な技術で品質を支えています。

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7.精密加工技術

ボールペンの品質は、先端ボールのなめらかな回転によって左右されます。回転がスムーズでなければ、思い通りの描線が得られないだけでなく、あの微妙な書き味も台無しとなってしまいます。チップの加工には、切削や塑性加工など多くの工程を持つ特殊な加工機が使われています。この加工機に様々な工夫やチャレンジが加えられることで、高品質のボールペンが生産されるとともに、今までに無い新製品が生まれるのです。

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8.電気制御技術

自動組立機を自社開発する当社では、動きやセンシングの情報をコントロールするための制御盤ハード設計やソフト設計も設備開発者の仕事です。
また、工場全体の効率化を考える技術者は、インク製造工程の無人管理システムや、個々の製造設備を相互にリンクさせる総合的制御システムを手掛けたりしています。こうした技術は、工場の設備やシステムの開発だけでなく、商品開発にも活かされていきます。

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9.精密成形

直液式筆記具に使用されている部品にコレクターというものがあります。これはインクタンク内の圧力を調整する事によって、インクを漏らさないようにしている部品です。毛細管力が生じるほど細かく深い溝が形成されたコレクターは、金型製作、射出成形とも精度が命となります。さらに樹脂表面の改質処理は、インク漏れへの品質を向上させています。
また、日々進歩しているのが機能性樹脂材料です。三菱鉛筆では、環境保護やインクの寿命を保つためなどに、樹脂材料を積極的に採用しています。樹脂をうまく使いこなす技術が、ユーザーや地球にやさしい製品になるのです。

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10.界面化学

現在、着色剤の主流となっている顔料は、耐水性・耐光性に優れ、発色が鮮やかである特徴を有していますが、沈降や凝集などインク中では不安定な挙動を示します。そこで、いかに安定な分散体を得るかが重要な技術になります。こうした分散の技術は、界面化学の応用研究により実現されています。
当社の「超微粒子分散技術」を駆使した顔料インクは、「uni-ball eye」「uni-ball シグノ」「POSCA」などの製品に採用され、さらには、化粧品やスタンプ印など筆記具以外の分野にも応用展開されています。

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11.レオロジー

当社製品の“シグノ”はチキソトロピー特性※を持ったインクを使用しています。まず、筆記を開始するとペン先のボールが回転しインクにずり応力が与えられます。すると、高粘度であったインクは低粘度化し、従来の水性ボールペンのような“なめらか”な書き味となります。また、紙面に転写されたインクは、元の粘度の高いゲル状に戻ろうとするため、“にじまない”、すっきりとした描線になるのです。(※撹拌したり、振動させるとゲルからゾルに変化し、放置するとまたゲルに戻る現象を指します。)

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12.分析

当社では製品に使用する化学物質に関しても安全性を充分に考慮し、設計の段階から厳しい基準を設けています。一方、分析技術は安全性設計ばかりではなく、研究開発する際に生じる様々な仮説を検証する際にも不可欠な要素です。高品質な製品を創出するためには、いま起こっている現象のメカニズムひとつひとつを把握しなければなりません。
全てはお客様に最高の品質を安心してお使いいただくためです。こうして開発された筆記具が、お客様の思考を表現するお手伝いをするのです。

関連する要素

13.トライボロジー

書き味や筆記寿命距離を左右するのがトライボロジーです。特にチップ部分においては、微小なボールがホルダーに支えられて紙面上を高速回転します。これらの「摩擦」「磨耗」「潤滑」をコントロールする技術があってこそ、最後の一滴のインクまで、思い通りの描線の太さで、サラサラ書けるボールペンが提供できるのです。書き味の良いボールペンは、チップの金属材料の検討に始まり、ミクロンオーダーの加工技術、潤滑剤としてのインク開発など、様々な技術により支えられています。

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14.再生材

「エコロジー」は三菱鉛筆が未来に向けて目指すテーマの一つです。たくさんの方々に資源の大切さを実感してほしいという思いから、1992年よりリサイクル材を使用した商品を発売するなど、環境問題にいち早く取り組んできました。以来、「グリーンネット」と題して資源の有効利用と環境負荷の低減を目指し、「再生材使用」「安心廃棄」「ロングユース」そして「簡易包装」をキーワードに商品の開発を積極的に行っています。

関連する要素

15.マイクロカプセル

消せるボールペン「uni-ball R:E(ユニボール アールイー)」のインクにはマイクロカプセルの技術が使われています。
マイクロカプセルは、ロイコ染料、顕色剤、消色温度調整剤を内包した粒子として、インク中に安定に分散しています。
室温では、ロイコ染料と顕色剤が結合して発色を示し、温度を加えていくと、消色温度調整剤がその結合を切り離すため、消色させる というメカニズムです。
当社独自のマイクロカプセル技術を使用したuni-ball R:Eは、発色が良い、消し跡が目立たない、消してもカスがでないという特徴を有しています。
今後は熱消去以外の機能を付けた、新しい用途にも展開していきます。

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