ボールペンを科学する
ボールペンは「なめらかに書けること」、
「長く使えること」など、
多くのことが
求められています。
それらを克服するために、
一本のボールペン
にはたくさんの工夫が込められています。
軸ペンを外部環境から守る
筆記具の部品にはプラスチックが多く使われています。これらの部品は射出成形により1つの金型の中にある数十個の部品の型をした空間(キャビティ)にプラスチックが充填するようにして成形されますが、金型へ充填されるプラスチックの流れ方によって部品の強度や外観に大きな影響をを与えます。軸の外観・強度だけではなくキャビティにプラスチックが均一に充填される事まで考慮して部品や金型の設計を行います。
プラスチックを成形する設計
インクInk:文字を書くための液体
インクは、色材の種類から「顔料インク」「染料インク」に分類されます。従来は「染料インク」が主流でしたが、現在は耐水性・耐光性に優れる「顔料インク」が世界の筆記具の主流となりつつあります。三菱鉛筆の超微粒子分散技術を駆使した顔料インクを用いさらに、色材をにあわせた成分(水性 油性 ゲル)との組み合わせによりユーザーのニーズにあわせた「滑らかで」「早く乾き」「書きやすい」インクを開発しています。
にじみにくい顔料分散液
超微粒子分散技術
顔料は沈降や凝集など、インク中では不安定な挙動を示します。そこでいかに安定な分散体を得るかが重要な技術になります。三菱鉛筆では、インク性能を長期にわたり安定的に維持するため、顔料をナノオーダーまで微細化する分散技術の研究を積み重ねてきました。この超微粒子分散技術を駆使した顔料インクは、筆記具だけでなく、印章用インク、化粧品内容液、繊維染色用インクなどとして、幅広い可能性を見せています。
顔料浸染
三菱鉛筆では、ナノサイズに加工した水性顔料分散体からなる、繊維着色用インク開発に取り組んでいます。このインクは、従来の顔料とは異なり、鮮明な色相、色調を可能とし、またマイクロコート化による優れた風合い、堅牢性の提供を可能としました。この技術を確率することで、従来の繊維染色工程での水使用量、エネルギー使用量を大幅削減し、環境に優しい染色工程の表現が可能となります。
環境にやさしい顔料浸染
チップTip:ボールペンの先端部
ボールペン先端のチップは、インクの流出量や書き味を左右する重要なパーツです。1mmに満たないボールのなめらかな回転を維持し、インクの要求性能に応じるために、チップの生産には高い加工精度が必要です。加工では切削加工や塑性加工など多くの工程があり、それらすべてに精密加工技術が盛り込まれています。最近では、チップの中にさらにボールや超精密スプリングを入れることで、新たな機能を追加したものも開発されています。