PTFE分散体
当社は筆記具インクを開発してきた中で、微粒子の分散を通して、様々なノウハウ、技術を培って参りました。その知識を活かして、ナノオーダーのPTFE分散体の開発に成功しました。
有機溶剤への微粒子分散が困難とされていたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)をナノ粒子の状態で分散できるようにりました。 これにより様々なお客様のニーズにお応えします。
三菱鉛筆PTFE分散体のコンセプト
三菱鉛筆は、PTFEに最適な分散方法・配合を開発し、フィブリル化することなく様々な溶媒へ分散することに成功しました。
一般的な分散方法でフィブリル化した例
当社品の分散体。フィブリル化せず均一な状態。
フィブリル化した分散体は粘度上昇や、粒子の合一が起こり、ポンプを通すことでゲル化することがあります。またゲル化すると生産機のポンプシステムなどに負担がかかり、故障に繋がる可能性があります。
下のグラフは、粒子サイズの分布となります。
当社分散体を使用することで微粒子化されたPTFEの粒が、フィルム樹脂の中で、均一に存在します。これにより、表面に凝集粒子が現れず、当社分散体を使用することで微粒子化されたPTFEの粒がフィルム樹脂の中で、均一に存在します。これにより、表面に凝集粒子が現れず、 またフィルム表面を削ってもフィルム内部の粒子の均一な状態は変わりません。また、削ることでフィルム内に埋もれていた粒子が表面に露出し易くなり、その場合撥水性などの向上が期待できます。
使いやすさ
樹脂に混ぜる際
三菱鉛筆のPTFE分散体は油性系の溶媒にも分散していますので、樹脂、ワニスに混ぜる際、簡単に混ぜることが出来ます。
長期保存性
安定性の高い分散体となっており、長期間保管しても、軽く容器を振るだけで、すぐに使用できる状態に戻ります。
電気特性
PTFEそのものは、基板や電線などの様々な電気的な用途に使われています。 その理由は、非常に有利な電気特性を持っているからです。 当社の分散体を使えば、比誘電率(Dk)、誘電正接(Df)を下げることが可能です。
三菱鉛筆PTFE分散体の添加によるDk/Dfの低減例
ベース樹脂 |
市販ポリイミドワニス |
PTFE分散体 |
MPT-D116 |
測定方法 (Dk,Df) |
SPDR(10GHz) |
用途例: 2層FCCL
ピール強度向上
三菱鉛筆PTFE分散体は上記のメリットに加え、2層FCCL材料に添加することで、ピール強度が向上します。電
市販ポリイミドワニスと平滑(non-profile)
分散体 | Blank | MPT-D6@50% | MPT-D115@50% |
ピール強度 (N/cm) |
2.1 | 4.6 |
7.8 |
耐吸湿性
PTFE自体は、撥水性のある材料です。樹脂の中に微粒子のPTFEを入れ込むことによって、吸湿度性の向上が期待できます。
用途例:3層FCCL
2層FCCLと同じ様に、PTFEがピール強度の向上に貢献します。3層FCCLの構成に合わせて、必要な特性を付与するための開発を行いました。 新な分散体は、ピール強度7.0N/cmを達成しました。
PTFE濃度 |
ピール強度 (N/cm) 銅箔は「粗化面」 |
ピール強度 (N/cm) 銅箔は「平滑面」 |
|
Blank | 0% | 8.0 | 3.8 |
従来三菱鉛筆の分散体 | 20% |
5.0 |
4.2 |
改善分散体 | 20% | 7.2 | 5.2 |
用途例:塗膜への機能性付与
三菱鉛筆のPTFE分散体を樹脂に配合しコーティングすることに
PTFEの特性として、動摩擦も大幅に減らすことができます。
水性ウレタン塗料 PTFE30%/Film 塗工条件:2mil
一例と致しまして、
その他カスタム例
PFOA対応
ペルフルオロオクタン酸(PFOA)は、
赤い線は、REACHの25ppb規準
製品開発カスタム対応
カスタム製品開発の流れ
当社は、PTFE分散体を含めて、様々な顧客のニーズに合わせて分散技術を提案しています。お客様に最適な製品を提供する為に、下記のような提案活動をしています。
お客様のニーズ・課題・ビジネスモデルを議論させていただき合意した後、当社で検討し提案を作成させていただきます。 実際の作業としては、設計、測定のサイクルを繰り返し、必要な特性が得られるように開発していきます。
カスタム製品の開発の例
三菱鉛筆のPTFE分散体を利用していたお客様に、品質上の不具合が発生してしまいました。
表面に荒れ発生「オレンジピール」
原因調査を行って、二つの要因を特定出来ました。
原因①「泡混入」
原因②「凝集物」
お客様の製造プロセスまで踏み込んで改善活動を行うことで問題が解決出来ました。
改善されたプロセスで解決
プロセス改善点
- 攪拌しながらPTFE混合
- 減圧状態で攪拌継続(泡抜き)
- 塗工前に濾過
プロセス改善活動によります、品質の問題が直しました。
表面荒れの改善に成功
顕微鏡写真:凝集物・泡のない表面
当社では、これまで蓄積してきた様々な分散のノウハウを使い、お客様に満足していただく製品開発を目指しています。
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